第3問 図形の性質
四面体の一部を切り取った五面体について、3直線が1点で交わる証明、相似の利用、方べきの定理の利用、平面と垂線に関する問題で、いずれも、丁寧な誘導があり、何に着目するかも提示してある。誘導に従って、図をしっかり見て解けば、それほど難しくはない。
第4問 場合の数と確率
くじ引きを題材として、期待値を計算させて、その参加料の妥当性を判断させる問題。最初の確率の設定さえ間違えなければ、あとは丁寧な誘導に沿って、簡単な計算で正解にたどり着ける。期待値を考えさせるには適した題材ではあったが、反復試行も条件付き確率もない、どちらかと言えば平板な問題であった。
今回から、同じ図形を別のページで再掲してあったのは、受験生に対する配慮であろうか。
これはよかったと思われる。
また、ある設問の配点が、前の設問が正解でないと与えられない設定は初めてで、これは単なるカンで正解するのを避けるためであろうか。
全般的に問題文が長く、70分で解くにはきついものがある。
「日常の事象や数学のよさを実感できる題材」という割には、最もそれに直結するような単元である「人間活動と数学」(整数の性質)からの出題がなかった。(内容的にはどこが人間活動と結びつくかは疑問であるが)
考察力を試すため、様々な事象に数学をあてはめていこうというのはいいのであるが、結局は丁寧な誘導にそって、素直に解かせるだけになっていて、太郎さんと花子さんを通じて、決められた解き方を強要しているに過ぎず、穿った見方をすれば、結局は言われたことを素直に実行する能力を試しているだけになっていないだろうか。
平均点が53.51点(ⅡBCが51.56点)であった。一部を除けば、基本的事項を問う問題ばかりであって、この平均点は意外な気もする。文章を正しく読めなかったのであろうか。
では、高得点をとるにはどう対策をすればよいのか。まずは、すべての単元について、基本事項を問題を通して再確認をした上で、共テ型の問題で練習する。その際に、しっかり問題文を読んで、問題が指示する解法の流れに乗ることを意識してもらいたい。
今年のような出題であったら、基本事項の確認をスピード感をもって取り組み、むしろ共テ型の問題演習にウェートを置いた方がよいだろう。
実現可能かどうか別にして、共テ数学を攻略する理想的な勉強方法は、まずは教科傍用問題集で基礎の確認をしたうえで、その単元をマーク型の模試の過去問、共テの過去問で8割以上になるまで演習をし続けることである。
これができれば、時間とお金を浪費する動画授業など不要である。
生徒の学校の授業の完全理解を目指す 志向館 宮前 龍彦 でした。