館長の三木です。これまでにあまりなかった問われ方やこれからの倫理の取り組み方をアドバイスしよう。
第2問に「極楽往生」思想を表す絵画が出題されて、現世利益と極楽往生の区別ができ、「仏が迎えに来るのなら、極楽往生である」と判断する問題があった。共通テストのテーマは「考えさせる」である。当然、考えたことを筆記するのではないとすれば、絵画や資料を見せて総合的に解答するということになる。これからの倫理の学習の仕方は昔からの定番の社会の単語カードだけでは足りないようだ。もちろんキーワードの整理は欠かせない。極楽往生とは死後の世界観を想定し。死後の世界の設定は避ける現世利益は、生きてるうちに幸せになることである。共通テストでは言葉でこれを言い当てるのではなく絵画を見て判断する力を問うている。
そうかと思えば、第3問ではエミールの一節が出題された。道徳書であるエミールの典型的な表現の仕方で、良心を擬人化している部分がある。「良心はだれにも相手にされなくなって・・・容易に追い払えなかった良心を、もう一度呼び戻すことはとてもむつかしくなる。」の内容から、「(人は)苦境にあえぐ人たち・・・良心が痛んだとしても・・・その痛みを感じなくなってしまう」の選択肢を選ぶ問題もあり、国語の試験に近いと思う。これからの、倫理の学習は教科書だけではなく芸術作品や資料の読み取りにも力を入れて、倫理的な視点を広げることが期待されているのである。