大学入試センターのサイトには毎年作成者側の意図や感想が書かれています。大学入学共通テスト問題評価・分析委員会報告書というものです。そこでは「化学が記憶科目と誤解されることを危惧して、単純な記憶だけによって正解が導き出せる基礎的事項に加えて、基礎的知識を基にして科学的に判断する力、思考力を問う問題をバランス良く配置するよう心掛けてきた」とあります。
確かに典型的な問題の間に、見たことがないであろう反応に関する問題を取り上げて、こだわって作っている感はありますし、作るのに大変な思いをしていることも想像できます。初見の問題でもかなり詳しく説明をしているので、それを見れば解答に辿り着けるのも分かります。しかし、全体のバランスを本当に考えているのかは疑問です。
例えば、バイキングでずらっと並んでいる素晴らしい料理をあれもこれもと取っている結果、食べきれなかったり、全体の調和がとれていない組み合わせを選んでしまったり、誰しもがあると思います。そのような雰囲気に近いように思います。
それはそうと、1・2年生は共通テスト化学に対してどう対策をすればよいかですが、とにかく計算問題になれることが必要です。特に「知らない化学反応式」に対する計算問題の練習が必要です。従来の化学の勉強では
化学反応式が書けるようになる→計算ができるようになる
という図式でしたが、共通テストではそのような方法では解けません。学ばない化学反応式が出てくるのですから仕方がありません。
共通テストの化学は大学入試センターの中間集計で平均点が40点台です。得点調整が行われなければ(行われたとしても)どうせ作成者側は直すこともないでしょうから、今後も難易度が高い傾向は続くと考えた方がよいです。早い対策を必要とします。
志向館化学担当 徳野