こんにちは。志向館で世界史を教えている三木陽平です。共通テスト世界史はいかがだったでしょうか。今年の東進の総評はやや易化でした。たしかに知識量はそこまで問われないという実感はありました。逆に言えば、限られた知識をどう生かすかが重要になります。
まず、核軍縮の流れは1962年のキューバ危機から始まっています。そして、多国間の核に関する軍縮は1963年のPTBT、1968年のNPT、そして1996年のCTBTです。(これらの年号までは覚える必要はないが、順番は抑えていてほしい。)リード文からキューバ危機の記述だと判断し、その翌年となっているのでPTBTだと判断できますね。
もし、PTBTかNPTのどちらかがわからない!!と思ったあなた。落ち着いて。演説の中に「-包括的な核実験禁止条約に関する早期の妥結を目指し―」とあるので、すくなくともCTBTではないと判断できるでしょう。そうすると、PTBTかNPTだと考えられますね。
そして問題では交渉相手の国と、条約内容を問う問題です。受験生の中には「演説の中で「マクミラン首相」と書いてあるので、マクミランが必死にどこの国か考えた。」という子もいましたが、そこは知識を巧みに働かせましょう。「マクミラン」がイギリスの首相であることを知っている受験生はほぼいないですし、そもそも早慶レベルでしか聞かれません。
大事なことは、PTBTとNPTの特徴です。これらの条約はどちらもフランスと中国は不参加です(NPTはのちにフランス中国は加盟している)。特に、フランスのPTBT不参加についてはド=ゴールの独自外交として必ず押さえておかなければなりません。つまり、この問題は、60年代のフランスの独自外交と、中国の中ソ論争について間接的に問われているもとらえられます。さらに、PTBTの特徴は「地下での核実験は可能」、NPTの特徴は「五大国以外は核保有を認めない」です。これらは必ず押さえておきましょう。
あとは消去法です。知識を働かせるのです。「フランスと中国が不参加なので、交渉相手の首相の国にフランスが上がることは考えにくいよな??」「PTBTもNPTも核実験の全面的な禁止ではないのでは…?」。このようにすれば、PTBTだと断定できなくても、マクミラン首相がわからなくても、正解が④番であると導くことができますね。
実際、このように知識を働かせて解く問題、および知識を働かせれば解くことができる問題がほとんどです。このような知識の働かせ方のコツやテクニックの働かせ方を学びたい方は、ぜひ志向館にきてください。